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ご挨拶

 『高麗戦士トライ』のホームページを訪問下さり、ありがとうございます。

 城西大学経営学部 石井龍太研究室では、地域振興や福祉などの分野で幅広く活動している「ローカルヒーロー」を研究し、さらに研究室所属のゼミ生たちと実際にヒーロー団体を運営する実践活動を行っています。学生たちを主体に、若者らしい彼らの創意工夫を生かし、これまで、『ユニベーターJ』(2015~)、『リベレスパーJ』(2016~)といったヒーローたち、怪人たちが研究室から産み出されて来ました。彼らは「大学生のヒーロー」「若者のヒーロー」を目指して作成されましたが、ローカルヒーローとしての地域色は、正直希薄でした。また3、4年生による運営であり、彼らの卒業とともに活動は事実上終了となり、最大で2年間(実質的には1年半未満)の活動に制限されるため、学内外の知名度が高まったところで終わりになってしまうという寂しさがありました。

 

 このHPで紹介する『高麗戦士トライ』は、そうした今までの活動の課題を踏まえ、その解消を目指して開始した団体活動です。活動の主体は同じく石井研究室のゼミ学生たちですが、より若い1,2年生の学生たちによって運営されています。そして代々受け継がれていく運営形態をとることにしました。

 基本的な設定は、指導教員である石井が作りました。そして研究室のこれまでのヒーロー活動の中で希釈されてしまっていた地域色をふんだんに盛り込むことにしました。まず、城西大学が立地する坂戸市、そして近傍の毛呂山町、鶴ヶ島市、日高市といった地域の古代史を物語の背景に据えました。今から1300年以上前、朝鮮半島北部にあった古代国家・高句麗が滅亡した後、日本へと渡来した移民「高麗人」によってこの土地に「高麗郡」が拓かれたと伝えられています。往時の痕跡は各地に残り、城西大学坂戸キャンパスの傍には「高麗川」が流れ、学歌の中にも登場します。

 こうした同地の古代史をヒントに生まれたのが、古代の戦士「高麗戦士トライ」です。名前は、覚えやすさを意識して短く、また既存の言葉を意識できるものにしました。「トライ」は「渡来」であり、また「Try」も暗示されています。マスクは高句麗古墳に残る騎射人物像を元にデザインしました。体に纏った鎧は、高麗郡を開いた渡来人のリーダー・若光が、玄武をシンボルとする一族であったことを下敷きに造形しています。

 そしてトライとともに戦うのが、「未来騎士」たちです。彼らは城西大学をモチーフとし、大学のロゴに使われている青色と黄色をあしらって製作しました。高麗戦士と未来騎士との共闘には、「古代」と「未来」、「地域」と「大学」が手を取り合うイメージが重ねられています。ヒーローたちの目標は、「命を大切にし、人々が生きた証である歴史を守ること」としました。

 

  そんな彼らの前に、強敵「火炎大将軍」と「火炎兵」が立ち塞がります。火炎大将軍は炎の化身であり、自然破壊や戦乱の道具として炎を悪用してきた人類を憎み、その存在を歴史もろとも根絶しようと企んでいます。大学と地域が協力し合い、挑む相手として相応しく、あえて地域色を廃し、人類共通の敵としました。また命や歴史を軽んじる彼らの主張は受け入れ難くもありますが、一方で人類の不実に起因する、筋が通ったものとなっています。そこに、現代社会の抱える多くの問題同様、解決困難な難しさを重ねました。

 トライと火炎大将軍の戦いは、長く苦しいものになるでしょう。物語の中では、現代、地域、歴史が内包する様々な課題を盛り込んで行きたいと考えています。今後の展開にご注目下さい。

2017年10月27日

石井 龍太

(城西大学経営学部助教)

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