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ごあいさつ

 『ミスターJ』のHPを訪問下さり、ありがとうございます。

 城西大学経営学部 石井龍太ゼミナールの活動も、2023年度をもって9年目となります。その間に生み出したヒーローシリーズは10作品を数え、キャラクター数は100体を超えました。本作『ミスターJ』は、城西大学石井ゼミ第9世代ヒーローであり、第10作目ということになります。そして担当教員である石井が、2022年度をもって城西大学を退職したことから、栄えある第10作品『ミスターJ』は城西大学石井ゼミ最後の作品となります。私にもまた学生にも思うところがあるのでしょう、過去作品へのオマージュがちりばめられていますので、どこが何になっているのか、探していただくのも一興と思います。ただ、そうしたゼミの歴史より、あくまでも中軸となるのは今現在に必要なテーマの追究、そして誰も見たことのない新しいヒーローの制作です。その意味では、これまでの作品と制作姿勢は変わりません。
 昨年度から運営している第8世代ヒーロー『ディフロンターJ』は、古くて新しい現代的課題である環境問題をテーマに掲げると共に「組織のヒーローVS個人の敵」という、これまでに余り例のない構図を用意しました。また侵略宇宙人と地球防衛隊の戦闘を描くリアルな描写を心掛け、戦いの悲しみや難しさを描きました。そうした先輩たちの姿を横目に見ながら、2023年度のゼミ生達が考え出したのが、図らずも現代的課題として急浮上し続ける「戦争」、そして「個人のヒーローと二つの組織がせめぎ合う」構図でした。文化・考え方の違いからぶつかり続ける二つの勢力が荒廃をもたらしている世界を舞台に、主人公ジョーカーは両者の戦争を止めるべく駆け回ります。城西大学石井ゼミのヒーローは歴代「J」の名をつけて来ましたが、本作ではトランプの撹乱役である「JOKER」をかけています。その名が示す通り道化師を思わせるデザインや、本人は戦いに加わらないという、およそヒーローらしからぬ設定にもまた、過去にない新しい世界を作り上げようとする意図を込められています。こうした世界観とデザインには、石井ゼミに2年時から在籍して来た千代田直樹君のアイディアがふんだんに盛り込まれています。彼はまた『高麗戦士トライ』の派生作品『神霊戦士ゴーバ』の生みの親の一人であり、またゴーバその人でもあります。
 また今までのゼミ活動では、デザインや設定のアイディアを学生から募り、立体化は石井が担当して来ましたが、本作ではもう一つの新たな試みとして、学生がデザインから造形まで担当したキャラクター『雷騎
ライノ』の活躍があります。『神霊戦士ゴーバ』の出演キャラとして、また宮古島狩俣集落での出張ヒーローショーにも登場した雷騎は、その生みの親である中嶋詠智くんによる独自のアイディアと世界観の塊です。その意味で、本作はこれまでの作品と異なり、他作品との連携を意識したマルチバースな性格も備えています。

 この文章を書いている今、設定を詰めて第1話の上演を支度しているところですが、東ヨーロッパに続き西アジアでも惨たらしい事態が発生しました。現実の社会で古典的な戦争が続発する中、空想の世界として作ったはずの本作は、不幸にして現実社会を描き抉るものにもなって来たように思います。今後の展開にご注目下さい。


​2023年10月19日
城西大学経営学部非常勤講師 石井龍太

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