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メイキング

 

例年ならば、春が過ぎた頃には学生たちが額を寄せ合って喧々諤々の企画会議に脂汗を流すところなのだが、2020年はそうはいかなかった。大学の閉鎖は続いており、直接顔を見ることなく、オンライン会議の中で設定が詰められていくことになったのである。

勝手の違う議事進行は中々上手く行かなかったが、結局7月に入り、それまでの議論を総ざらいした近未来SF風の世界観設定が確立した。世界を巻き込んだ戦争の果てに、外見上区別無い者を差別し憎しみ合う世界。息苦しいマスクを武器に戦い合う若者たち。絡み合う複雑な人間模様。そこに映し出されているのは、しかし冗談なのかと思いたくなる様な現代社会を暗喩した世界であった。

キャラクターデザインは、それまで石井ゼミに多かった生物感あふれる路線を変更することにした。主人公たち『リジェネイダーJ』チームの名前が、「ヒバナ」「レイキ」「タチカゼ」となっている様に、やや抽象的な現象をキャラクターに落とし込まなければならない。しかも設定上、実際に武器として身に着ける強化スーツの姿を模索しなければならないのである。

登場人物たちのいでたちは、基本的には宇宙人が持ち込んだ強化服を元に独自に改良されたものとされたので、特に胸パーツは共通の型紙から切り出し、素材や追加装甲の形状変更、色の変更を加えることで差別化するという手法を取った。

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「若者」をイメージした最初の石井ゼミのヒーロー『ユニベーターJ』はさわやかな風のイメージがデザインに取り込まれており、特に右胸のパーツに金属質ながら柔らかい表現を取り入れていたのだが、今回は半透明パーツを工夫してみることとした。特に今回の特徴として取り入れた「マスク」パーツに多用してみた。マスクの装着前と後で表情が変化するように心がけ、マスクをつけると狂暴化するという設定を踏まえて強面のマスクデザインが多くなった。なお着脱には強力磁石を用いたが、脱落の危険があったため後日マジックテープを下顎周りに追加し補強している。

一方差別化した要素としては、未熟な若者チームである『リジェネイダーJ』の面々は左右非対称デザインとし、成熟した『ディストローグ』およびライシンは左右対称のデザインを取り入れた。

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