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ポッチの休日

(作:小林優人)

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やっと訪れた休日。ポッチは楽しみにしていた釣行に行く。釣った魚をどんな風に調理しようか考えるだけで楽しい。お刺身にしてもいいな、凝った料理を作るのもありだ。今日は刺身の気分だな……

務める会社  総合商社セルへの通勤時間はとても長いのである。朝が早く帰りが遅い。よくあるブラック企業だ。会社のみんなはよく真面目に働いてるなと思う。自分もだ、、、、。でも最近会社がおかしいことにみんな気づき始めて、おかしさに気づかない馬鹿な奴ばっかり残ったような気がする。ブラック企業は良くないっていう世の中になりつつあるってのに上の連中がおかしいと会社は変わることは無い。これ以上俺の釣りの時間を奪わないで欲しい。
通勤時間が長いと言っても1時間半はかからない。しかし戦闘して疲れて帰る時はかなりつらい。仕事が終わって病院に行こうにももうどこの病院も終わっている。迂闊に風邪も引けやしない。体調管理も仕事のうちだと怒られてしまう。
怪我をしていても馬鹿な上司は働かせてくるし定時なんてのもない。それが嫌で新入社員逃げ出してたっけな。いやなんだっけ、改造されたのが気に入らなかったんだっけ。勝手に改造するなんて酷いよな、元には戻らないって噂聞くし。平蛾博士だっけ?なるべく関わり たくないなぁ気をつけよ。

セルじゃない会社に入っていたもっと釣りする時間が確保出来たかもしれないなぁってことを1番よく考える。それほど俺は釣りが好きなんだなぁと感心。
もうちょっと勤務時間とかサービス残業とか改善しないかな。あ、上が馬鹿だから改善しないか!ははは!
せっかくの休日なのにまた会社のこと考えていたのだった。

今日大物が釣れればそんなネガティブな感情も湧かなくなるさ!準備準備!
釣りの荷物は多い。今やレンタルなんてものもあるみたいだが俺は絶対に自前のものを持っていく。ポッチが一番こだわっているのは服装だったりする。意外とオシャレに釣りをしたいのだ。日差しを避けるためのサングラスはもう何個もコレクションしている。着ていく服似合わせてどのサングラスがいいか選ぶのも楽しみだったりする。もちろん、釣り竿とかバケツ、ハサミなんかもなるべくオシャレなものを選んでいる。こだわりの道具たちを全部自分で持っていきたいから車も購入した。前はバイクだったから全部運ぶのが大変だった。今は快適だ。いつものお気に入りのスポットまでもう少し、楽しみすぎる。

電話だと?
まさか会社からじゃないだろうな???
会社からだった。
ニャストからだ。
「ニャロースとニャンビーが今日は休みだから私からの連絡だ。休みのところすまないが先日君に任せた任務で君の武器が壊れたと報告を受けている。修理に出す間君の武器はなくなるがどうする、次の任務には他の武器を持っていくか?

そんなことを休みの日にいちいち確認してこなくたって自分の武器がないので次の任務に行けないって言う選択肢が許されるわけが無い
他の武器で行くしかない。確認してくるのはニャストだからだろうな。
ニャロースとニャンヴィーだったらわざわざ選択肢のない電話はして来ない。

ポッチ「他の武器で任務に当たります。」
ニャスト「そうか、分かった。休みのうちに怪我を治しておくように。」

怪我が早く治るように安静にします。なんて電話では言ったが嘘俺は釣りに行く。
ってか怪我してるのわかってるなら休み増やしてくれよ!そうしたら安静にしててやるからさ…絶対無理!釣りしに行っちゃう!


いつもの防波堤に到着。
いつもより遅めのスタートとなった。が、今日の餌はいいものを持ってきた!
順調に釣れている。天気もいいし日差しが気持ちいい。日頃の疲れが癒される。
おっ!!!!!大物の予感、これは大きいぞ!勢いよく引き上げると
70センチのスズキだった!
本当に大物が釣れた…ポッチは喜ぶ。お刺身がいっぱい食べられるぞ!
やっぱりいつものこのスポットは当たりだな!もっと釣れたら嬉しい!
あと調理用の魚も少し釣って帰ることにする。刺身でお腹いっぱいになっちゃいそうだけど焼き魚も好き。串に刺して焼けるのを待つ時間とか最高なんだよな。
大好きな釣りで幸せに包まれるポッチであった。

何者かがこちらに走って向かってくる。
なんだ?と思ったその瞬間、スズキを奪われてしまった!
何が起きたのか分からないほど早い。見えたのはスズキを奪って逃走する
ニャロースとニャンビーであった。
逃げていく2人には奪った相手がポッチだとは気づいていないようだった。なぜならオシャレな服を着てサングラスまでしているから。

「おい!俺のスズキだぞ!返せ!」

追いかけた。スズキを取り返したくて追いかけた。
しかし猫科の足には追いつかなかった。
「奪われた…」しかも会社の奴だ

怒りに塗れるポッチであった。
追いかけるためにかなり走ってきてしまったために遠くまで来てしまった。
「せっかく釣ったのに…」
ぼそっと呟く。
「もしかしてポッチさんじゃないですか?」

その声の主はリヴァイザーJだった。
ポッチ「いかにも、私がポッチだ。
リヴァイザーJ「本当にポッチさんじゃないですか!休日まで俺を追って来たんすか!?しつこいすね」
ポッチ「違う!君を追っていたのではない!ついさっき大物を釣ったんだが猫科の野郎共に横取りされてしまって追いかけていたところだったんだ。」
リヴァイザーJ「びっくりさせないでくださいよ!まさか猫科ってあの?」(俺を追いかけてきたわけじゃないのか、せっかくの休日を台無しにされるところだったぜ、また標的にされないうちにとっととずらかろ)
ポッチ「そのまさかニャロースとニャンヴィーだよ。」
リヴァイザーJ「それは追いかけても追いつけないっすよ!!笑」
ポッチ「まんまと横取りされちまったさ!!笑笑」
リヴァイザーJ「あの猫科共はマタタビ与えてればいいと思ってたんすけど普通に魚も好きなんすね笑」
ポッチ「やっとの休日でせっかく釣れた獲物を取り返したい、リヴァイザーJ、手伝ってくれないか!」
リヴァイザーJ「えー!偶然居合わせただけですよ!?俺は今から泳ぐんですから!」
ポッチ「お願いだ!猫科にはマタタビって君は奴らの弱点を知っているだほ?!君ほど味方として強いものは無い!」
リヴァイザーJ「味方としてってポッチさん、敵として俺たちを攻撃してきたじゃないですか!ビクテイザーのことをガンガン攻撃して!」
ポッチ「ああそうだ、でも仕事なんだから仕方ないじゃないか!あの武器は壊れた。だから治るまで前のようには戦えない!あの武器じゃないと私は弱い。」
リヴァイザーJ「都合よすぎですよ!俺は海水浴に来たんです!魚を奪い返したいなら勝手にやってください!」
ポッチ「あの時はすまなかった、でも正義を愛する君なら理不尽に奪われた魚を取り戻したい気持ちをわかってくれると思ったんだが…」
リヴァイザーJ「くっ…正義って言葉は反則ですよ!確かにポッチさんには恨みはありますけど理不尽に魚を奪われたのはかわいそうって思います。俺も猫科にはムカついてますから!」
ポッチ「私もかねてから猫科には腹が立っていたんだ!頼む!一緒に奪い返してくれ!!」
リヴァイザーJ「仕方ないですね、今回だけっすよ、正義のヒーローはいつも人を助けるはずだ!手伝いますよ!」

海水浴に来ていたリヴァイザーJを手伝わせることに成功した。

リヴァイザーJ「敵は2人ですよね?じゃあこっちは3人で行った方がいいと思うすけど」
ポッチ「君と私以外に誰が?」
リヴァイザーJ「ここ海ですよね?居るんですよもう1人協力してくれそうな人が」

海の家に移動する。

リヴァイザーJ「あーやってるやってるエキュラーターくんでーす!エキュラーターくんは海の家でバイトしてるんですよ。」
ポッチ「なぜバイトを!!!休日も働いていて偉いな彼は。バイト中だが本当に手伝ってくれるのか?」
リヴァイザーJ「もうエキュラーターくんは仕事終わりで上がったあと一緒に海水浴するって約束だったんで!大丈夫だと思いますよ!」
ポッチ「そうなのか!助かる!」

リヴァイザーJ、エキュラーターに話しかける。

リヴァイザーJ「海の家でのアルバイトお疲れ様、仕事終わったあと海水浴の前にちょっと手伝ってくんない?」
エキュラーター「え?海水浴する予定しかないからいいけど何すんの?で、横の人は?」
リヴァイザーj「この人はポッチさん。セルの人さ。」
エキュラーター「ほう」
リヴァイザーJ「君も知ってるだろ?セルの猫科。」
エキュラーター「猫科ってあの猫科だよね?知ってるよもちろん。」
リヴァイザーJ「あの猫科のニャロースとニャンヴィーがさぁ、ポッチさんの釣った魚を横取りして逃げていったらしいんだ。一緒に取り返しに行こうぜって話。」
エキュラーター「あのバカニャンコ共、人のものを盗むなんてやっぱり最低だな!バイトで疲れてるところだけどこの際追いかけていって取り返すって名目でぶん殴ってやりたいしいいよ!手伝うよ!」

ほっとする。

リヴァイザーJ「ありがとう!エキュラーター!やっぱり手伝ってくれるでしょ?」
ポッチ「エキュラーターくん本当にいいのか!助かるよありがとう!」
エキュラーター「俺はあの猫科の奴らが気に入らないのでねやりますよ!」
リヴァイザーJ「俺も猫科の奴らには腹たってるけどエキュラーターはほんと嫌ってるよな!上司への敬意、欠如しちゃってるよね。」
エキュラーター「まあね〜でも仕事中はちゃんとやってるよ。仕事中はね。」
リヴァイザーJ「ってことで決まりですね!作戦立てましょう!」

リヴァイザーJとポッチで作戦を立てた。

ポッチ「もうスズキは食べられてるってことはないよな?」
リヴァイザーJ「もしもう食べられてたらアウトですけど、あの猫科が海にいるって絶対遊びに来てますよね?」
ポッチ「海水浴はしないにしても釣りとかボートに乗ったりとかしてそうだな。」
リヴァイザーJ「ですよね、で、やっぱりそうだったんですよ。」

リヴァイザーJ、エキュラーターからのメールを見せる。

エキュラーターからのメール「やっぱり浜辺にテント立てて日向ぼっこしてるよ。クーラーボックスみたいのもある。そこに横取りした魚が入ってるんじゃないかな?もうそろそろ行くよ。」
リヴァイザーJ「ほら、まだここに居る。逃げ足が早かっただけで近くに居るんですよ!」

エキュラーターが合流。作戦を確認する。

ポッチ「作戦は猫科の弱点マタタビの匂いでクーラーボックスから猫科を遠ざけてその隙にスズキを奪うってことで合ってるよな?」
リヴァイザーJ「そうそう、休日に任務中でもない時にマタタビの匂いがして来たら油断してるから絶対釣れる。ってかなんでマタタビ持ってんの?」
エキュラーター「仕事で猫科にグチグチ言われるの嫌だからさマタタビを香水みたいに体にかけてから出勤してんの。そうしたら急に優しくなってさ効果絶大なわけ。」
リヴァイザーJ「いよいよ本気だねー猫科嫌い。俺より頼もしいよ!」

いつもマタタビを持ち歩き香水のように体にかけるとは猫科の扱いが上手いなと感心するポッチ。俺もやってみようかなとか少し考えた。

浜辺には人が沢山いた。少し遠ざければスズキは奪えるが、もしバレて戦闘になった場合他の人に迷惑がかかってしまう。そのため、まずポッチがニャロースとニャンビーに偶然を装って近づき仕事の話があるとそばを離れさせる。
そこでありそうでない話をした後休みの日にまですみません、とお菓子をお菓子をプレゼントする。そのお菓子にマタタビをたっぷりかけて。

ニャロース「君も海に来ていたとはな、驚いたよ。」
ニャンビー「お菓子?貰っておくよ。君は怪我を早く治しなさい。ん?なんかこのクッキー…いい匂いがするな。」
ニャロース「ニャンビーどうしたこれは、、、」

ポッチ「近くの店になんでしたっけ猫さんの好きなマタタビ?のクッキーが売っていて他のと迷ったんですがほんと近くなんで見に行きません?そのお店」

ニャンヴィー「へぇ、そ、そんな店があるのか。行ってみるか。」
ニャロース「ああ、案内して欲しい。」
ニャロースはマタタビのせいで仕事で失敗したことを思い出した。今日は休日。罠?そんな訳は…弱点を知られて攻撃されたことを悔やんでいたニャロースは冷静だった。
自分たちがいたところのクーラーボックスからスズキが奪われているのを見つけてしまった。
ニャロース「ニャンヴィー!見ろ!魚が!」
ニャンヴィー「え!取られてる!ってあれはリヴァイザーJ!」

バレてしまった。
怪我をしていて武器もないポッチはバレた場合、すぐ隠れるという作戦にしていたからすぐさま隠れた。

エキュラーターはバレた場合、リヴァイザーJを追いかけるニャロースとニャンヴィーを後ろから攻撃して足止めする役割だ。
リヴァイザーJからスズキを奪い返すべく猫科は追いかける。そこに後ろからエキュラーターが攻撃をした!

ニャンヴィーに直撃!
ニャロースには当たらずリヴァイザーJの元へと走る。
リヴァイザーJはその間に走って遠くまで逃げていたから他の人を巻き込んでの戦闘にはならなそうだ。
ニャロースはリヴァイザーJが抱えるスズキ目掛けて飛び込んできた。
ニャロース「リヴァイザーJ!よくも奪いやがったな!」
リヴァイザーJ「奪ったってこれはポッチさんのだろうが!お前らが奪ったのを奪い返してんだ!俺は正義のヒーローリヴァイザーJだからな!」
ニャロース「くっ、さっきのマタタビのせいで力が出ない。まさかポッチの魚だったとは…」
マタタビで力が弱まりながらもリヴァイザーJからスズキを奪い返した!
リヴァイザーJ「おっと、マタタビ前より効いてねえじゃん!油断したぜ。」
これが猫科の実力。セルの中でも実力で上に上がっただけはある。

リヴァイザーJ「絶対に取り返してやる!」
リヴァイザーJはシャープバイトで奪い返そうとした。
しかし攻撃はニャロースの持っているスズキに命中してしまった。
スズキはバラバラになってしまった。

リヴァイザーJ「うわ!やらかした!すいませんポッチさん!」
エキュラーターはやれやれと呆れている。
ニャロースは驚いていた。ニャンビーはやっと追いついてきた。
それを見ていたポッチが物陰からでてきた。
ポッチ「リヴァイザーJくん、エキュラーターくんありがとう。奪い返せはしなかったが私のために戦う姿が本当にヒーローだった。それを見ていたらあきらめがついたよ。」
リヴァイザーJ「え、どういうことですか。」
ポッチ「みんなでお寿司にして食べよう。もちろんニャロースさんとニャンヴビーさんも。」

まさかの出来事にみんな驚いていたがお寿司にして食べることにした。
エキュラーターの計らいでバイト先の海の家のキッチンを貸してもらって米を炊き酢飯も作ってポッチがバラバラになったスズキを何とか捌いてお寿司にした。
なんやかんやあって食べるスズキの寿司がとても美味しかった。
猫科もスズキを奪ってすまなかったと謝罪しポッチは許した。
ひとり、エキュラーターだけは心の中で(なんで猫科にまで食べさせるんだよと思っていた。)

リヴァイザーJ「手伝ってくれてありがとうな、なんか上手くまとまってよかったわ。俺だって猫科を許したわけじゃないけど猫科の戦闘の強さはすごいと思ってんだ。ムカつくけどな!」
エキュラーター「君がシャープバイトでスズキをバラバラにした時はどうなることかと思ったよ。1番腹立ってたニャンビーに攻撃が当たって嬉しいよ俺は。」
リヴァイザーJ「どうせなら2人に攻撃当てて欲しかったぜ!まあ美味しい寿司が食べられてよかったな!」

ポッチの優しさで猫科とも和解できた。
リヴァイザーJは正義とは何かをまた考えさせられた。

お寿司で心が満たされたリヴァイザーJとエキュラーターは海水浴に行った、
ポッチとニャロース、ニャンビーはポッチは3人で釣りをした。
とある日のポッチの休日は破天荒ではあったがいいものになった。

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