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​弟としての存在価値

(作:濱野豪己)

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これは株式会社セルの資産管理部にいる課長のニャンヴィー(銀猫)の物語である。ニャンヴィーにはニャロース(金猫)という兄がいる。その兄とは昔からよく競い合っていたがまだ勝てたことは無い。そんな兄弟がこの会社に入り、そして、ニャンヴィーは何をおもって兄の背中を追い続けるのか。その理由が今明かされる…。

 


ニャンヴィー「ねぇ、兄さん」
ニャロース「どうしたニャンヴィー。俺はいま忙しいんだが?(マタタビを手に)」
ニャンヴィー「またそうやってマタタビばっか弄って……(ため息)」
ニャロース「いいだろ?俺の好きなものはこいつしかないんだから」
ニャンヴィー「まぁたしかに、兄さんはそうだよね。そんな事より僕とまた勝負して貰うよ!」
ニャロース「またそんな事をするのか?今までやって来て未だに俺に勝ったことが無いだろう。そろそろ諦めていいんだぞ?」
ニャンヴィー「諦めるわけないじゃないか。いいからいくよ!」
殺陣:ニャンヴィーVSニャロース
ニャンヴィーが爪攻撃を仕掛けるがニャロースは左腕で受け右の爪で反撃。
ニャンヴィーも同じく左腕でガードをするが、勢いに耐えきれず一歩後退してしまう。
ニャロース「まだ俺とは力の差があるな」
ニャンヴィー「まだ分からないよ?(少し笑いながら)」
ニャンヴィーはそう言いつつ左腕をはね上げ、そのまま左腕で打撃攻撃を仕掛ける。
ニャロースはその攻撃を胸に受けるが、余裕そうにその左腕を右の爪で上に掴み捻りあげる。
そしてそのままニャンヴィーを突き飛ばし、
ニャロース「今度は俺からいくぞ?」
ニャロースは左腕で打撃を振るうフリをして右手の爪で攻撃。
ニャンヴィーはニャロースの左腕を両腕でガードしようとした為に右の爪の攻撃をまともに喰らってしまう。
ニャンヴィー「くっ!!!」
ニャロース「まだまだだな。少しは強くなってきているが、俺を越すにはこんな力じゃ無理だな。」
ニャンヴィー「たしかに兄さんの言った通りだね。僕にはまだ力が足りない。でも、これからもっと力を貯めていつか越してみせる。」
ニャロース「フフフ…そうなってくれることを楽しみにしているよ。」
ニャロースはそう言いながら歩き出す。ニャンヴィーは立ち上がりニャロースの後を追う。

ニャロース「そういえば、この前面白い話を聞いてな。俺はその話を受けようと思う。」
ニャンヴィー「急に何の話ですか、兄さん。それにもう話を受けることを決めてるなんて、また勝手に……。(ため息)」
ニャロース「まあそう言うな。それにこのままフラフラしてても仕方がないだろう?そこに行けば楽しいことが起きるだろうしな」
ニャンヴィー「たしかにそれもそうだね。それでその楽しいことが起きそうな場所っていうのはどこなの?」
ニャロース「なんでも『総合総社セル』という会社らしくてな。とにかく強い奴を集めているようだったから受けたんだ。」
ニャンヴィー「それは兄さんらしいね。でも面白そうだ。何があるか分からないけど行ってみる価値はありそうだね。」
ニャロース「それじゃあ行くとするか。」


そうしてニャロースとニャンヴィーの2人は総合総社セルに向かった。

 


一方その頃、総合総社セルでは会議が行われていた。
平蛾博士「わしがこの前声をかけた猫がどう動くか気になっていたが、ここに来ることになりそうだ。」
槍ヶ岳「さすがおじさん!ところでその猫は信頼できるの?」
平蛾博士「中身は分からんが、力だけは信頼出来る。それに、力があるだけでそれを発揮する場所がなかったみたいだからな。その場所を提供させてやるんだ、文句はないだろう。」
槍ヶ岳「確かにそれもそうだね!それに、何か言ってきても僕達には勝てないだろうしね!」
平蛾博士「その通りだ。これからどれだけこの会社を発展させられるかはわしの采配にかかっているんだ、好き勝手にはさせないさ。」
(小さな声で呟くように)人事課戦闘員高山「本当にこの人たちそんな強いのかなぁ…。見てる限りすごい不安だけど…。」
人事課戦闘員平岡「そうだよなぁ…実際に戦ってるとこ見たことないもんな。いつも俺らに雑用だけを押し付けて、口だけしか動かないもんな。」
平蛾博士(人事課戦闘員の2人に向かって)「……ん?なんか喋ったか?」
人事課戦闘員高山「い、いえ!なにも!!!」
人事課戦闘員平岡「その通りです!何も話してません!」
平蛾博士「そうか…?まあいい。お前らはこれまで通りわしの言った通りに動けばいいのだ。それが分かってるならもう行っていいぞ。それと、さっき話したこと頼んだぞ。」
人事課戦闘員の2人「はい!わかりました!それでは失礼します!」
平蛾博士「まったく。あの2人は大人しくわしの言うことを聞いてればいいのだ。とりあえず、猫の部署を決めなければならないな。」

……バタン(ドアの閉まる音)

平蛾博士「ん?誰だ?」
首切「失礼します。他の仕事で少し遅れてしまいました。」
平蛾博士「遅いぞ!!まあいい。今話していたんだが、新しく来る猫の配属先についてなにか意見はあるか?」
首切「猫…ですか。ふむ…。資産管理部なんてどうでしょうか?あそこにはあまり戦力が無いでしょう。それに、人も足りていない。」
平蛾博士「あぁそれはいい提案だな。遅刻は無かったことにしてあげようじゃないか。」
首切「ありがとうございます。」


人事課戦闘員高山「なぁ、さっき部屋出る時に言われた『さっきの話』ってなんの事?」
人事課戦闘員平岡「あー?もう忘れたのか。それはさっき平蛾博士が話してた猫がそろそろ来るかもしれないから、入口から監視してろって事だろ?ちゃんと覚えておけよー」
人事課戦闘員高山「あーそんなこと確かに言ってたな!じゃあとりあえず外行くか。」
……そして外に出て入口の近くにて
人事課戦闘員高山「あ、来たんじゃないか?」
人事課戦闘員平岡「みたいだな。にしても、ほんとに猫なのか?耳がないぞ。」
人事課戦闘員高山「ほんとだ!!あいつら耳がないぞ!!」
人事課戦闘員平岡「しーっ!!静かにしろって!耳がないように見えるだけかも知れないじゃないか!これでバレたらお前のせいだぞ?」
人事課戦闘員高山「あ、あぁごめんごめん。驚きすぎた。まぁもし気づかれても大丈夫だろ。流石にいきなり襲いかかってくるような奴はいないはずだ。」
人事課戦闘員平岡「それは確かにそうかもだが、今盛大にフラグ立てなかったか?」
人事課戦闘員高山「いやいや、まさかそんなことあるわけないだろ。とりあえず今は静かに待っていよう。」

 


ニャンヴィー「ここが総合総社セルなの?」
ニャロース「俺が聞いた話だとここだな。思っていたよりも見た目は新しいようだが、中身がどんな会社なのか楽しみだな。」
ニャンヴィー「そうだね。」
ニャロース「とりあえず入ってみるか。俺のことを誘ったやつに一応挨拶しなければならないしな。(面倒くさそうに)」
ニャンヴィー「面倒くさいのは分かるけどそんなあからさまな態度は良くないよ。いくら相手が弱くたって同じ会社の人間になるんだから。第一印象は良くしとかないとね。」
ニャロース「あー確かにそうだな、めんどくさいが仕方ない。こんなとこで時間潰す訳にも行かないしな。ニャンヴィー行くぞ。」
ニャンヴィー「オーケー兄さん。と言いたいとこだけど、さっきからそこに居るのはだれなんだ?」
人事課戦闘員高山「えっ!?この距離でバレるのかぁ…」
人事課戦闘員平岡「まぁ猫は耳が良いって聞くし、仕方ないだろ。やっぱお前のさっきの声のせいじゃないか?」
人事課戦闘員高山「まあなんでもいいじゃないか。バレてしまったことは仕方ないだろ?」
人事課戦闘員平岡「確かにそれはそうだが…。」
ニャンヴィー「なにをごちゃごちゃと話しているんだ?僕たちに何か用かな?」
ニャロース「ふむ。このタイミングで出てくるってことは、貴様らを倒したら会社に入れる様になっているのか?」
人事課戦闘員高山「い、いや!お、俺たちはただ上司に言われて来ただけで…」
人事課戦闘員平岡「そ、そうだ!監視してただけだぞ!?」
ニャンヴィー「監視…ですか。あまりそういうのは好きじゃないんだよなー。兄さん?僕がこの2人を倒してもいいかな?少しこの会社を知ってみたいし。」
ニャロース「あぁ、それはいいかもな。しかし、お前一人で大丈夫か?」
ニャンヴィー「任せてよ!兄さんには勝てなくても、こんな奴らに負けるような僕じゃないってことを証明してみせるよ。」
人事課戦闘員高山「お、おい、あいつらなんか変なこと言ってないか?俺らを倒すとかなんとか………」
人事課戦闘員平岡「俺の耳がしっかり聞こえてたら言ってたな。まあ、そうなったらすべての責任はお前に押し付けてやるからな。安心しろ。」
人事課戦闘員高山「何も安心できねえよ!!!せめて一緒に戦え!(人事課戦闘員平岡と肩を組んで逃がさない)」
人事課戦闘員平岡「お、おい!はなせ!俺はこんなとこで死にたくない!!!」
ニャンヴィー「ねぇねぇ、そんな茶番してないで早くやろうよ!もしそったに戦う意思がなくても、僕の中で戦うことは決まってるんだから逃がさないよ?」
人事課戦闘員高山「なぁ、ああ言ってることだし諦めようぜ?」
人事課戦闘員平岡「元はと言えばお前があんなフラグ立てるからだろ……。まぁ今更何言っても無駄だよな…。後でこの借りはしっかり返してもらうからな?」
人事課戦闘員高山「これが終わったらな」
ニャンヴィー「話し合いは終わったかい?それじゃあ先にいかせてもらうよ!」
殺陣2:ニャンヴィーVS人事課戦闘員2人
ニャンヴィーが右手の爪で攻撃。それを見た2人は両腕でガードしたが、勢いを殺せず後退。そこに、続けてニャンヴィーは右手を返して攻撃。2人はまともに喰らってしまう。
人事課戦闘員高山「おい、こんな強い奴が入ってくるなんて聞いてないぞ!??」
人事課戦闘員平岡「まったくだ!でも、やられっぱなしなのはムカつくな。2人で攻撃するぞ!せーの!」
人事課戦闘員平岡の声で2人同時にパンチを繰り出すが、ニャンヴィーの左腕に防がれて
しまう。
ニャンヴィー「声を合わせていたからもっと強い攻撃が来ると思っていたけど、まさかこんなに弱いとは…。兄さん、この2人倒してもいい?」
ニャロース「いや、倒すのはやめておけ。面倒なことにはしたくない。」
ニャンヴィー「はぁ、仕方ないなぁ。それじゃあこれで勘弁してあげるよ。」
ニャンヴィーは左腕で2人のパンチを払いがら空きの2人の腹にそれぞれ打撃をくらわせる。

人事課戦闘員高山「ぐっ…!!い、いてぇ………」
人事課戦闘員平岡「これで本気じゃないのかよ…」
ニャンヴィー「それで2人に聞きたいんだけど、僕達は誰のとこに行けばいいのかな?」
人事課戦闘員高山「こんな危ない奴に教えるわけないだろ!」
ニャンヴィー「ふーん?まだそんな余裕があるのか。それならもう少し遊んであげようか?(爪をチラつかせる)」
人事課戦闘員平岡「お、おい!何無駄に正義感出してんだよ!これ以上酷い目に合いたくないぞ!」
人事課戦闘員高山「わ、わかったよ…。建物に入ったら平蛾博士という方に会いに行けばいい。そしたらお前たちの事を案内してくれるだろう。」
ニャンヴィー「お前たち…か。まあ今は久しぶりにスッキリできて気分もいいからこれ以上は何もしないであげるよ。教えてくれてありがとね。また会えるのを楽しみにしているよ。」
ニャロース「時間をかけすぎだ。さっさと行くぞ。」
ニャンヴィー「了解。まあちゃんと聞き出したんだからいいでしょ?」

 

 

そして、2人は総合総社セルの中へ入っていく。

 


平蛾博士「おぉ、やっと来たか。」
ニャロース「遅くなって済まないな。入口で変なやつに絡まれてな。」
平蛾博士「おっと、それはわしの部下が失礼したな。しかし、声をかけたのは1人だった気がするが、後ろにいるのは…?」
ニャロース「あぁ、こいつは双子の弟でな。ニャンヴィーという。」
ニャンヴィー「あぁ、僕の名前はニャンヴィーだよ。面白そうだからついてきたんだけど駄目だったかな?」
平蛾博士「いや、実力があるなら大歓迎だ。まぁ、立ち話はこれくらいにして2人とも着いてきなさい。」
ニャンヴィー(平蛾に聞こえないように)「ねぇ、あの上から目線なのなんかうざいんだけど。」
ニャロース「最初は仕方ないだろう。これから実力を見せていけば自然とあいつは下になるだろうから気にするな。」
平蛾博士「ん?なにか喋ってるのか?」
ニャロース「いや、気にする事はない。早く案内を頼む。」
平蛾博士「あぁ、わかってる。」

 

平蛾博士「ここが君たちに働いてもらう部署だよ。」
ニャロース「ここは?」
平蛾博士「ここは資産管理部といって、主に土地の管理や資産の運営を業務として行っている部署だ。なにか他に質問はあるかな?」
ニャンヴィー「ねぇ、他にこの部署の人は居ないの?」
平蛾博士「ニャンヴィー君、君は少し上司に対する態度を改めた方がいいぞ。これでもわしは人事課の部長なんだからな?」
ニャロース「弟が失礼した。それで、他に人はいないのか?」
平蛾博士「まぁいい。この部署にはスクエアという偵察に特化したやつがいる。そしてもうすぐニャストという猫剣士が配属されるだろう。ほかにもいるが、そいつらはつかえん下っ端どもだ。覚えることは無い。そして君たちにはこの部署の部長と課長という役職についてもらう。なにか異論はあるか?」
ニャロース「飛び入りなのだが、そんな役職について大丈夫なのか?」
平蛾博士「あぁ、今までいたやつはすぐ居なくなる根性無しだったからな。君達には期待しているぞ?」
ニャンヴィー「それ大丈夫なの?まあ、僕は戦いが出来ればそれだけでいいんだけどね。」
平蛾博士「君は戦闘のことしか頭にないのか…。まぁ、これ以上は話すことは無い。好きにしてくれ。」
ニャロース「わかった。では後は俺に任せてくれ。」
平蛾博士「頼もしいな。それじゃわしは去るとするよ。」
平蛾博士が出ていく。
ニャンヴィー「好きにしていいよって言われたけど、何か策でもあるの?」
ニャロース「まあゆっくり考えればいい。とりあえず言っとくことは、この部署は実力主義とする。私が今は部長だが、これから入ってくるやつと戦い負ければそいつに部長を譲るとしよう。まあ、負ける気など一切ないがな。」
ニャンヴィー「それはいいね!それならまた僕が挑む事も出来そうだ!」
ニャロース「まぁまずはこれから入ってくるやつに期待しよう。」

 

数日後…
平蛾博士「邪魔するぞ?」
ニャロース「ん?なにがあった?」
平蛾博士「この前言った剣士が来たのでな。連れてきただけだ。」
ニャスト「どうも、ニャストと申します。本日からこちらで働かせて頂くことになりました。これからよろしくお願いします。」
ニャロース「あぁ君が剣士のニャスト君か。よろしく。」
ニャンヴィー「へぇーなんか強そうだねー。よろしく。」
平蛾博士「では、私はここで失礼するよ。あとはニャロース部長に任せたよ。」
ニャロース「あぁ。まかせろ。」
平蛾博士が退室後…
ニャロース「改めてよろしく、ニャスト君」
ニャスト「えぇ、よろしくお願いします。ところで私は何をすればいいのですか?」
ニャンヴィー「僕と戦おうよ!」
ニャスト「それは何故ですか?」
ニャロース「弟が済まないな。しかし、この資産管理部は実力主義を掲げていてな。来た新人には私たちと戦って強さを見定めた後に役職を付けることにしている。まあ、いつもは私がやっているがニャンヴィーがこう言ってることだ、ニャンヴィーと戦って強さを見せてくれ。」
ニャスト「そういうことでしたか。それであれば是非お手合わせお願いします。」
ニャンヴィー「なんか余裕そうだね?まあいいや。じゃあやろう!」
殺陣3:ニャストVSニャンヴィー
ニャンヴィーが右の爪で先制。ニャストはそれを抜剣した勢いで防ぐ。
ニャンヴィー「へぇー。これをそんな簡単に止めるのか」
ニャスト「いえ、簡単ではなかったですよ。では、今度は私から行かせてもらおう!」
ニャストは剣で爪を弾き右の袈裟斬りを放つ。それをニャンヴィーが左腕で受け止め弾く。続けてニャストが弾かれた勢いを使い、回し蹴りを放つ。ニャンヴィーはそれを見て後ろに飛び回避。
ニャスト「今のを避けるのですか。やはり強いですね。」
ニャンヴィー「今のは危なかったよ。でも、まだまだこんなもんじゃないよね!?」
ニャンヴィーが再び右の爪で攻撃を仕掛け、それをニャストが剣でガード。すかさずニャンヴィーが左腕で打撃攻撃を放つが、ニャストは右の爪を剣で弾き後ろに飛ぶ。しかし間に合わず1発腹部にもらってしまう。
ニャスト「くっ、速いですね…。」
ニャンヴィー「いや、反応できただけでもすごいよ。さぁ、もっとやろう!」
今度はニャストが右の袈裟斬り、左の袈裟斬り、そして左から横一線に剣を振るう。ニャンヴィーは1撃目と2撃目を左腕、右の爪で防ぎ最後の斬撃を間一髪の所で後ろに回避する。
ニャンヴィー「うわ!今のはやられたかと思ったよ。」
ニャスト「その反射神経はほんとに素晴らしいですね。」
ニャロース「じゃあ2人とも実力がわかった事だしここまでとしよう。」
ニャンヴィー「えーこれからもっと楽しもうと思ったのにー。」
ニャロース「まあそれはまたの機会にしよう。今の戦いの結果からニャストには係長をしてもらうとしよう。頼んだぞ?」
ニャスト「悔しいですが、仕方ないですね。その責務果たしてみせます。」


2人が去った後
ニャスト「弟はこの程度でしたか…。これならいつかこの部署を私のものに…ふっふっふっ…。」


そして資産管理部のメンバーが揃い初の仕事(戦闘)を終えたあと


ニャロース「ニャスト、お前は中々いい仕事をするな。今まで剣士をあまり見た事ないがとてもいい戦いを見せてくれる。」
ニャスト「ありがとうございます。しかし、まだまだ未熟な身。もっと鍛えていきます。」
ニャロース「あぁ、よろしく頼む。それに比べニャンヴィー。お前はいつになっても乱暴な戦い方が変わらんな。もっと丁寧にやれ。そうやっていつまでも自分は強いと慢心しているといつか痛い目をみるぞ。」
ニャンヴィー「あーはいはい、わかったよ。次気をつけるよ。」
ニャロース(小声で)「まったく、ニャストみたいに謙虚になれないものかね…。」

 

ニャンヴィーは聞こえていたが、あえて聞こえないふりをした。
そして、その後もいくつかの仕事を繰り返したがニャンヴィーは兄の満足のいく戦いを見せられずにいた。逆にニャストはその謙虚な姿勢と仕事への真っ直ぐな情熱をニャロースにかわれていた。ニャンヴィーは強くなろうと焦っている気持ちと、戦闘を好む性格が災いし仕事を上手くこなせなくなっていたのだ。

 

ニャスト「ニャンヴィーさん、少しいいですか?」
ニャンヴィー「ニャストか、なに?」
ニャスト「最近特に思うのですが、仕事をしてる時なにか余計なことを考えてはいませんか?」
ニャンヴィー「いや?ちゃんと仕事しているけど?なにか文句ある?」
ニャスト「いえ、少し気になっただけですのでお気になさらず。では、失礼しました。」
ニャストが帰ったあと、ニャンヴィーは1人でずっと考えていた。


ニャンヴィー「くそ、いつもいつも冷静な物言いでムカつくな。僕だって前はもっと冷静でいれたはずなのに…。ニャストが来てからどうしてこう、上手くいかないんだ!早く兄さんに追いつかなきゃ行けないのに……!!」

ニャンヴィーは仕事の出来なささをニャストのせいにしていた。しかし、本当はわかっていた。これは自分の弱さが原因だと。単純な力の強さでは無い、心からの焦りが仕事に影響してしまっていることを。それでもその事を考えては焦ってしまい、結果として上手くいかないのだ。

ニャンヴィー「このままでは兄はおろかニャストにさえ勝てなくなってしまう…。しかも兄はニャストを偉く気に入っている。僕だって出来るのに、!!!」

(ニャンヴィーは知らない。兄のニャロースはとっくに弟の強さを認めていることを。それでもニャロースがニャンヴィーに言わないのは、ニャンヴィーにはもっと成長して強くなって欲しいと願っているからだということを…。)

そしてニャンヴィーは自分の弱さを克服する為に出来るだけ冷静な態度をするようにした。そうすることで戦闘の時でも冷静に動ける様になってきた。しかし、このままでは兄に勝てる強さを身につけることは出来なくなってしまうのでは無いかと考えていた。また、兄に認められることも無くなってしまうのではないかとも…。そうした焦りがニャンヴィーの中で渦巻いていた。これを無くす為にもニャンヴィーはただひたすら戦い続けては強さを求めていった…。そしてニャンヴィーが本当に強くなり、兄を追い越す日は来るのだろうか。また、兄の考えに気づくことは出来るのだろうか……。
 

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